2011年07月09日

+ワンルームの中の孤独+

 最後の砂が落ちきったので、また砂時計をひっくり返す。わたしは囚われのお姫様。
 煌びやかなドレスは剥ぎ取られ、紺色のワンピースを着せられている。コットン生地の着心地は悪くない。
 何回砂時計をひっくり返しただろう。あと何回ひっくり返せばいいんだろう。グラスに注がれた水は、もうすっかり温くなってしまった。グラスの汗はテーブルに小さな水溜りをつくる。
 違うの。囚われてるんじゃないの。守ってもらってるの。
 助けに来てくれる人なんかいない。何も見たくない。何も聞きたくない。何も知りたくない。わたしはお姫様なんかじゃない。部屋に閉じこもって、時が流れていくことだけ確認したい。
 また最後の砂が落ちきって、右手で砂時計をひっくり返し、わたしはただそれを見つめる。見つめ続ける。
posted by 三里アキラ at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | Sudden Fiction | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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