2011年08月20日

+どうして先に+

 どうして先に手に届かない場所へ行ってしまうのですか。遠いところへ。
 小さい頃、母親が手を引いてくれました。大きくなり、恩師が手を引いてくれました。今の私はただ一人、見えない目的地へ向かい、歩き続けています。
 走る気にはなれません。立ち止まるわけにもいきません。仕方なく、仕方なく、歩いています。
 道中の楽しみは足跡を見ることです。驚くべきことに、全ての命あるものがこの道を進んでいくのです。
 後進があれば気遣います。先進に追いつける気はしません。早足で追い抜いていく者もいます。
 どうして先に行ってしまうのですか。
 本当のところ、私はもう歩くことを放棄したいのです。目的地なんてただの言い伝えかもしれないと疑っています。
 足が痛いのです。
 息が苦しいのです。
 戻ってきてください。戻ってきてください。あと少しだけ歩く元気を、私に分けてください。
posted by 三里アキラ at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | Sudden Fiction | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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