2011年11月05日

+闇箱+

 日が短くなったせいかずっと曇り空が続いているせいか、胸の奥がズンと重くてつらかったので、胸を切り裂いて不要なものを捨てようとしました。
 ナイフを突き刺したとき確かに痛みを感じましたが、それよりもこれで気楽になれるんだと思って深く深く切り裂きました。思っていたより血が溢れ、お風呂場でよかったと思いました。片手が潜るくらいの大きさの切り目が出来ると、自らの胸のつかえを取ろうと右手を切り目に沈めました。
 古い文庫本が出てきました。古いCDが出てきました。古い手紙が出てきました。古い写真が出てきました。希望が出てきました。悲しみが出てきました。嘘が出てきました。黒くどろっとした液体と共にいろんなものが出てきました。引っかかってるものをあらかた出してしまうと気分は軽くなりました。
 さあどうしましょう、傷口をふさぐ方法を考えておくのを忘れていました。もう痛みはないのですが、こんなところに空洞があったら何かと困るかもしれません。しかしやはり方法は思いつかず、私はヒューヒューと鳴る胸を抱えて考え込んでしまいました。
posted by 三里アキラ at 00:03| Comment(0) | TrackBack(0) | Sudden Fiction | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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