2006年04月08日

+昼間、キッチンで+

 調理用の安い酒を飲んでいたら、左手の薬指にかさこそと虫の気配がしたので爪ではじいた。見てみると虫ははじかれずに指の中に潜り込んだようだ。指の肉を齧ったらしく痛みが走ったので右手で搾り出そうとしてみたが、虫は指から手首のほうへ肉を齧りながら進んでいく。何とかしようとナイフを持ち出して虫がいる辺りをさくっさくっと切り裂いていった。虫が体にいるなんて気味が悪いわ。虫はいないが虫が通ったと思われる道筋が見つかった。何かどす黒い液体が湧き出ている。虫はどんどん上のほうへ上のほうへと進んで規則的にうごめく。左手から全身にぞわぞわと寒気が走る。恐ろしいことに大きくなってきているらしい。虫の動きが速く強くなってきた。ナイフを握る手には汗がにじみ左腕を何度も何度も切り裂くけれど、虫は見つからず道筋だけが見える。もっと上、もっと上。虫はどんどん大きくなり進んでいく。切り裂く位置もそれに従い次第に心臓に近づいていく。左腕は既に元の形を留めていない。ああ、そうだ。そういえばここに置いていたわと拳銃を持ち出し打ち抜くと、ああ、やっと虫を殺せた。どくんどくんと動いていた虫は止まったわ。
 その時、世界は暗転する。
++あとがき、その他。++

 500文字の心臓ホラー超短編に投稿したものです。
 今回は作家の森山東氏が選者でした。サプライズで小林泰三氏もゲスト選者。
 タイトル競作以外に挑戦したのは初! でした。
 ホラーというジャンルにも初挑戦! でした。
 ちなみにワタクシ、ホラーは「リング」「らせん」「ループ」しか読んだことがありませんことよ。おほほほほ。だって怖いのキライだもん。ホラー映画は観たことがありません。本当に。
 タイトル競作と同様に、正選・次点・逆選の選評もあったのですよ。

結果:
  正選 0P  次点 1P  逆選 3P
  森山氏からは「惜しい」との評を頂きました。でも、「正直すぎる」らしいです。えぇ? 

 キッチンドランカー(→アル中患者)の幻覚症状をベースに書いてみました。
 なんだかもう自分でも「何書いてるのやら」な気分でキーボードを打ってましたが、これを書いてるときの私自身が「ホラー」なんじゃないかと、ふと思ったりして。
 とにかく、知らないものは書けないものだと身をもって知りました。しくしく。こういうお話ってどうやって締めくくったらいいんですか?? 

 ひとつおまけの話。
 実はこれ、ぴったり500文字だったんですよ。
posted by 三里アキラ at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | Sudden Fiction 心臓 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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