2011年10月22日

+緑の傘+

 アタシの誕生花ニオイカントウからは過保護な母親を連想します。大きな葉は日光を遮り、周りの草を枯らしてしまうそうです。
 仕事もしない家事もしない彼を横目に晩ご飯を作る午前三時半。客から貰ったアクセサリー類は煩わしいので外します。

++追記。++
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2011年10月01日

+サマ化け+

 休みの間キンパツにしていた髪に黒を入れる。肌は少し焼けてしまったけれど、この程度なら長袖とメイクでごまかせる。
 人生二度目の独りぼっちの誕生日を過ごした。海に行った。川に行った。ライブに行った。騒いだ。飲んだ。キスをした。でも全部、封印する。カラコンも捨てる。服も捨てる。写真と知り合った人の連絡先は消去する。思い出もできるだけ忘れる。街ですれ違っても<私>だとは誰も気付かないだろう。大丈夫、元の生活に戻るだけ。だって結局は何も変わってなんか。
 開けたピアスの穴だけ消えない。それは私の破瓜の証。


++追記。++
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2011年08月13日

+結晶+

 純度が高く大きなものを得るためには、ゆっくりと冷却することがポイントです。
 小さな身体に知覚を溶かし込み、撹拌します。化合物ができるまでは外から加熱しながら待たなければなりません。早ければ15年、遅くとも25年程で取り出すべきものは出来上がります。ただし、取り出すにはこれまた手間と時間がかかります。個体によって量の多少があることにも気を付けなければなりません。
 繰り返しますが、冷却は極めてゆっくりと。状況によっては再加熱を重ねることも必要です。撹拌は控えるようにしてください。これを誤ると身体は破裂します。そうですね、50年もあれば取り出せる大きさにまで成長するかもしれません。取り出した残りは害しかないので身体ごと焼却処分するのが良いでしょう。まあ、取り出した結晶自体が極めて強い毒となる場合があることも周知の事実でしょうが。
 これをどう使うかは、あなたの善意に賭けてみたいと思います。


++追記。++
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2011年06月25日

+スイーツ・プリーズ+

 同い年なんだからわたしがちょっと童顔だからって子供扱いしないで。「オレのが年上じゃん?」ってたった一ヶ月しか変わらないじゃない。い・っ・か・げ・つ! どっちが子供よ。子供の理論よ。
 わたしの部屋に来るときいつもケーキ持ってるけど、わたし甘いのあんまり好きじゃないって言ってるでしょう? 食べるけどさ。「ぷにぷにしてきたね」って笑ったりなんかして、ケーキのせいなんだからね? 「食べてる顔、幸せそうだなあ」ってそれはケーキのせいじゃなくて! もうちょっと思いやりのある言葉とかさ、どうなのよ。優しくしなさいよ! 長いこと、たとえば「好きだよ」とか言ってもらってないんですけど。たまにでいいから言って欲しいんですけど。浮気でもしてやろうかしら。しないけど。ホントなんでこんな男にニヤニヤしなきゃいけないのか自分で納得いかないよ。
 年上気取りでわたしのこと好きに扱うけど、わたしがいつまでもただ従ってると思ったら大間違いなんだからね。毎晩苦いの飲ませてさ、えっと、その、イヤ・・・じゃないんだけどさ、それよりも、それよりもさ、そのショートケーキ食べたまんまのクチビル、こっちに向けてきなさいよ、ねえ!


++追記。++
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2011年05月14日

+法螺と君との間には+

 いざ行かん、姫君を奪い返しに。我等が主君の大事な人を奪い返しに。南蛮の紅い花を掲げて奪い返しに。いざ。

++追記。++
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2011年04月16日

+天空サーカス+

 晴れ。音色にひかれて土手に行くと、金ピカのサックスを吹く白いカラスがいた。
「いい音ですね」
 話しかけてから気付く。往年の名クラウン、アレン・カラスだった。カラスはにやりと笑みを浮かべ、メイクはしていないが俺はまだ道化をやれるぜ、とサックスを吹く。
「そういえば今日は天覧公演ですね」
 ああ、と頷いてカラスは空に音色を響かせる。
「戻りたい?」
 問うとサックスの音が大きくなった。怪我をした脚で不器用ながらも愉快なステップを踏む。
 観客は天人だけじゃない、今目の前にいるアンタだって観客だ、俺は笑わせるのが仕事だ、生きるのが仕事だ、天人に魂を連れていかれる前に地べたを這ってでも笑いを取ってやる。
 ――そう言ったのはカラスか、私か。世界がよく混ざりあったいい日だ。

++追記。++
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2011年03月12日

+ドミノの時代+

 コインに準えるのは快と不快の二面を軸とするから。彼女たちはダイスの時代、すなわち五感+αが研ぎ澄まされる時期に深く繋がった。ドミノとはつまり、知覚を置換できるようになることを意味する。
 廊下で笑いあった翠も、藍里も、桃子も、葵も。皆、病んでいった。一人健やかにある茜は自身に引け目を感じる。病んだフリを演じ始める。青を基調とした細密な静物画をナイフで破いてイーゼルから外す。喋ることを自ら禁じ、赤い絵の具だけを出してカンバスにバツを四つ描く。大きく。空白は斜めの正方形。絵筆にパレットから赤い絵の具。またバツを描く。繰り返す。気付けば朝焼け。気を失うように床に倒れこみ、眠る。夜になり痛覚に目を覚ますが、闇を眩しく感じる。明かりを点ける。冷たい。テレビン油の強い匂い。茜には甘い。苦いパンを口に押し込む。辛いミルクで飲み込む。吐き気が鼓膜を叩く。またカンバスに向かい絵筆に赤い絵の具を取る。バツを四つ。そんな日が半年続き、お望みどおりの入院。ただし任意。
 白い病室は、想像とは違いとても穏やかだった。四人もこんなに穏やかだろうか。茜は服薬を見守られながら思う。そうだといい。
 手に赤いサインペン。持ち込んだ一冊のスケッチブックはバツの上書きで真っ赤だ。茜の目には襲い掛かる色彩々の波。中央に残る白い正方形。黒い正方形の残像。一度ドミノまで至るとダイスにもコインにも戻れない。誰か、止めて、遮って、何も感じたくない! 悲鳴は体の奥底に押し込めた。そして無言でスケッチブックに赤いバツを叩きつけ続ける。

++追記。++
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2011年02月05日

+あおぞらにんぎょ+

 浮遊するジュゴンの母子が、呼吸の為に海へキスをする。ちゃぷん。

 青い海に沈んだ男が海面に目を遣り、寄り添う二つの影を掴もうと手を伸ばす。ごぼり。

 境界は波。遠くの低気圧でうねる。ざばん。届かない。届かない触れない。届かない触れない、他者。けれど互いの存在が見えてしまうのだもの、思いを馳せてしまうじゃないか。太陽が波を焼く。見えないけれど水蒸気が昇っている。もうじきここにも低気圧が来るだろう。天は曇るだろう、嵐が来るかもしれない。母子は太陽を目指す。目指して高く、もっとずっと高く、どこまでも高く。次の呼吸は成層圏を抜けてからだ。闇の宙へキスをするのだ。そのまま重力圏を抜けて旅立つのだ。遠く遠くへ。誰もいないところへ。それが幸福の海だと信じて。男からはやがて見えなくなる。見えなくなるがまだ海面を見つめ続ける。忘れよう、忘れるべきなのだとそう言い聞かせる。けれどまだ目を逸らせない。まだ。ゆっくりと沈み始める、深く下へ、意思とは関係なく。遠くなる。涙はそのまま海へ溶ける。涙とは何か。羊水のように海が包む。目を閉じる。やがて眠る。

 ほら、やっぱり雨が降り始めた。

++追記。++
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2010年12月11日

+気がつけば三桁+

 土曜の夜は街角でおヒメ様。「……ゴムは着けて」連絡先は教えたことがない。だって誰も王子様じゃなかったから。どれだけページを重ねても絵本の中には帰れない。

++追記。++
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2010年10月16日

+外れた町+

 子供の頃から、地図をしょりしょりと鋏で切るのがなんだか楽しいのです。最初のそれは、縁にたくさんの広告が入った住んでいる地域の細密な地図で、何丁目、とかまできちんと表記してあって、眺めているうちにその境界線を鋏でしょりしょりと切りたくなったのです。気の向くままに町を要る/要らないと選別しながらしょりしょりしていると、かいじゅうの形をした紙が出来上がりました。このかいじゅうは私が作り上げたんだぞ、と妙な達成感を感じてから、地図をしょりしょり切るのが楽しみになりました。今はネットで地図なんていくらでも見つかるので、週末は適当な町の地図をプリントアウトしてはしょりしょりと切っています。
 ある時、出来上がったかいじゅうの紙を眺めていると、丁度良くかいじゅうの目になりそうな町を見つけました。少し躊躇ったのですが、ちょりちょりと慎重に切り外しました。目を持ったかいじゅうは、今までより立派で、今にも動き出しそうでした。動き出しました。ぺらぺらの体で「がおー」なんて吼え出して、のっしのっしぺらり、と歩いてどこかに消えてしまいました。あとに残されたのはかいじゅうが居なくなった紙くずを持つ私でした。

++追記。++
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2010年09月18日

+エジプト土産+

 野球の甲子園、ラグビーの花園、陸上のオリンピア、導魂のエジプト。
 導魂では、四者一チームで使者となり死者の魂を制限時間内にいかに遠くまで運べるかを競う。プロの死神なら仕事として魂を肉体から黄泉の国へ運ぶのだが、ボクたち卵は自縛霊とか浮遊霊なんかを移動させるだけだ。ボクは代表メンバーのレギュラーだった。だったのだが、訓練中に呪いをかけられて敢え無く日本に居残りとなった。
「とにかく暑かったよ。負けたし、来なくてよかったんじゃない?」
 ボクの代わりにレギュラーとなった彼は、砂の入った風邪薬の瓶を渡してくる。笑顔が眩しい。受け取る。
「砂?」
「記念に、な。それはお前の分」
 ピラミッドもスフィンクスも何もかもを埋めて忘れさせる砂。次の大会の時が開催されるとき、ボクは既にプロデビューしている。ボクの評価は高い。スカウトも来ている。蓋を回す。さらりと中身を浴び、彼が目を丸くして息を飲み、その後は誰も知らない。

++追記。++
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2010年07月03日

+嘘泥棒+

 エリィは街外れのアトリエで彫嘘を生業としている。彫嘘なんて僕たち庶民には役に立たないものなので、エリィは月に1度、とびっきりの嘘と共に貴族のお屋敷に行く。黒く大きな馬が引く豪華な車がアトリエの前に停まり、エリィがお屋敷に行く日なのだと判る。
 アトリエはとても質素で、ドアはいつも開けっぱなしだ。お母さんなんかは「あんな人のところに行くんじゃないよ」と言うが、僕はよくアトリエに入り込む。ずらりと並んだ嘘を見る僕を、エリィは歓迎するでもなく追い出すでもない。ただずっと彫嘘を続ける。1つ、小さな嘘をポケットに滑り込ませた。つい。出来心で。華奢なガラスで1羽の赤い鳥が装飾された彫嘘だ。手にじわりと汗がにじみ、背徳感で周囲を見渡すとエリィと目が合う。慌てて喚く。
「ねえ、エリィ。こんなに無造作に置いていたら、盗まれたりするんじゃないの?」
 そうねぇ、とエリィは言う。
「捨てるほどあるんだから、必要なら持って行ってかまわないわ。誰かの役に立つとしたら嬉しくもある。私は好きなように嘘を吐ければいいのよ」
 その日以来、エリィのアトリエには立ち寄っていない。窓辺に置いた嘘を見ると、胸がくっと苦しくなる。

++追記。++
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2010年05月29日

+3丁目の女+

 店に入り、適当なテーブルでフレアスカートをコロンコロンと鳴らす。すぐに若いウエイターがやってくるので、野菜のベーグルサンドとアイスティーを注文する。待っている間は行き交うキレイな顔を眺める。
 注文が来たら、ウエイターの頭からミントを摘んでアイスティーに入れる。ウエイターは笑顔、わたしも笑顔を返す。正直に言うと、庭のミントの方がもっと健康的な強い香りがするのだけれど。
 食べ終わったらお会計のためにもう一度スカートを鳴らす。スカートの中の空っぽは、気をつけていないと可愛らしい音を上げてしまうのでみっともない。

++追記。++
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2010年05月08日

+死ではなかった+

 願いの代わりに魂売った。愛しい悪魔に魂売った。
 小さな家に広い庭、赤い首輪の白い犬。
 毎晩食べるごちそうで、メタボの道をまっしぐら。
 毎夜の激しい運動は、僕の心臓苦しめる。
 悪魔のおなかは膨らんで、ここに宿った新たな命。
 願いが叶った生活は手放せないや、もう、きっと。

++追記。++
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2010年03月20日

+しっぽ+

 祭壇の裏戸から降りて隠し部屋へ入る。壁に並ぶ瓶詰めの「しっぽ」「しっぽ」「しっぽ」。誰にも言えない。神にだって隠し続ける私の背徳。滅した悪魔のしっぽコレクション。一つの瓶からしっぽを取り出す。ペニスにあてがう。私のブツは熱を帯び、あっという間に硬くなる。
 ああ、何年前だろうか。このしっぽの持ち主だった雌の悪魔を滅したのだ。なんとも魅惑的なしっぽの動きだった。特徴たる愛らしい顔より、豊かな胸より、くびれた腰より、甘い声より、何よりもそのしっぽが私を興奮させた。自らの使命より、そのしっぽを手に入れるために悪魔を滅した。先にある快楽のためにその場の興奮を殺すことは、私には、難しいことではなかった。
 射精前の昂ぶりを感じた途端、ペニスが萎える。
 悪魔に魅入られていた男たちからは感謝されたし、教会からも正式な謝礼状を受けたし、仕事の依頼も増えたし、それによりたくさんのしっぽを見、また手にすることができた。満たされているさ。満たされすぎて溢れる手前だ。私は成功者だ。
 ペニスに触れるしっぽが甲高い笑い声を上げる。いや気のせいだ。だが。このしっぽを手に入れてから、ただの一滴の精液だって出せやしない。

++追記。++
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2009年12月26日

+謎ワイン+

 目の前に置かれたボヘミアングラス。優美な曲線の底にまるく一口二口分、血の色をした液体が入っている。
 好んで飲むのは辛口の白。ワイングラスなど使わず、ゴブレットで飲む。硬くスッキリしたものが良い。若くても構わないし安いならもっと良い。一人で一本空けてしまうことも、多くはないけれど、ある。
 赤は滅多に飲まないが、嫌いなのではない。初めて自分で買って飲んだものは赤だ。母が飲んでいたのとよく似た華奢なボトルだった。けれどそれはまったく美味しくなかった。その後も何度か深緑のボトルを試してみたが、どれもこれも、まだ30代だった母が「少しだけよ」と舐めさせてくれたものとはかけ離れた味で、軽かったり甘すぎたりした。
 私は諦めた。母が飲んでいたのは高級なヴィンテージワインだったのだ。違おうがそう思うことにする。母自身だって自分で買ってはいなかったのだから。私には手が届かないもの。もう、出会うこともないだろう。
 今、私はグラスから視線を逸らすことができない。泡立てながら注がれたためか、微かに芳しい香り。期待、裏切られる恐怖、興味、絶望への不安。唯一の救い、お代は隣の紳士が払ってくれるという。
 小刻みに震える右手が、ゆっくり引き寄せられていく。抗うことができない。ああ、もう、透き通った脚に、中指が触れてしまう。


++追記。++
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2009年12月05日

+もう寝るよ。+

 私は表現力の限りを尽くして私自身が異常でない事を証明しようとしているが誰も私の話を解さない、諦め目を閉じジャンクション。
 繰り返せばいつかユートピアに辿り着ける、はず、いつか、きっと、たぶん。

++追記。++
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2009年10月09日

+笑い坊主+

 からからから、と笑う。
 元気なお年寄りにインタビューする企画で来ている。前もって聞いたとおりよく笑う。
「何でもよく食べることだな。わしは旨いモンが好きだ。肉も食うぞ。旨い肉といえば、あの女の肢体も……おっと」
 からからから。
「食った分は責任持って生きんとな。命を食うんだから、そいつらの分まで幸せにならんとイカン」
 また、からからから。
 拒食症気味の私の胸に刺さる。
「結局はなるようにしかならんのだから、今を精一杯生きるべきだとは思っとる。が、何にしろ深く考えすぎん事だな。逆にいえばなるようにはなるんだから」
 からからから、笑う。からカラ空。
 檀家は多い。



++追記。++
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2009年09月03日

+名前はまだない+

 チューブとコードだらけの身体。画面には弱いながらも波形。8月9日。

++追記。++
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2009年08月04日

+シンクロ+

 果てしなく続く、暴力的に波を描く線。触れてしまった僕も線になる。
 融けて一つに。
 終わりのない、たぶん始まりさえなかった線は壮大な環。


++追記。++
posted by 三里アキラ at 19:20| Comment(2) | TrackBack(0) | Sudden Fiction 心臓 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする