2011年11月10日

個人誌作りました!

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 個人誌「AIZOME−SHU」が出来ました。
 文庫サイズ68ページに、未公開処女作や書き下ろしも含み21篇のお話が入っています。
 「御伽風味作品集」と銘打って、でもお子様向けじゃないようなお話もちらほら。「風味」だからね!(逃げ)

 本のみで540円、おまけ豆本付き(写真)が640円です。
 架空ストアにて近日発売予定です。

 詳しくは、また後日。(11.11.10)


 はい、後日です。(笑)
 発売日が決まりました。

 11月13日日曜日、午前9時よりお買い求めいただけます。
 https://store.retro-biz.com/page_detail_1024.html

 よろしくお願いいたします。(11.11.11)
posted by 三里アキラ at 21:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 案内・告知 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月05日

+闇箱+

 日が短くなったせいかずっと曇り空が続いているせいか、胸の奥がズンと重くてつらかったので、胸を切り裂いて不要なものを捨てようとしました。
 ナイフを突き刺したとき確かに痛みを感じましたが、それよりもこれで気楽になれるんだと思って深く深く切り裂きました。思っていたより血が溢れ、お風呂場でよかったと思いました。片手が潜るくらいの大きさの切り目が出来ると、自らの胸のつかえを取ろうと右手を切り目に沈めました。
 古い文庫本が出てきました。古いCDが出てきました。古い手紙が出てきました。古い写真が出てきました。希望が出てきました。悲しみが出てきました。嘘が出てきました。黒くどろっとした液体と共にいろんなものが出てきました。引っかかってるものをあらかた出してしまうと気分は軽くなりました。
 さあどうしましょう、傷口をふさぐ方法を考えておくのを忘れていました。もう痛みはないのですが、こんなところに空洞があったら何かと困るかもしれません。しかしやはり方法は思いつかず、私はヒューヒューと鳴る胸を抱えて考え込んでしまいました。
posted by 三里アキラ at 00:03| Comment(0) | TrackBack(0) | Sudden Fiction | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月29日

+サンマさんま秋刀魚!+

 サンマがあるから、秋は嫌いになれない。
 そんなフレーズをふと思いつき、頭の中で反芻して、自分で笑ってしまう。
「どうした?」
「なんでも」
 今夜の晩御飯は、栗ごはんとサンマの塩焼き、澄まし汁の予定。いつも来るこのスーパーでは今日が鮮魚の安売りの日で、栗ごはんは炊飯器でお米と一緒に炊けばいいやつを母親が送ってくれたので、つまり私はサンマを買いにきた。
 すいっと視界の隅を銀色が駆け抜ける。そちらに目を遣ると、今度は反対側で銀色が駆け抜ける。照明に当たってキラリと光る。私はまっすぐに鮮魚コーナーへと向かう。
 刺身用のサンマ(ちょっとお高い)と焼き魚用の塩サンマ(お手ごろ!)が、売り場に並んでいる。サンマの刺身も確かに好きだけれど、今日のあたまとおなかはサンマの塩焼きという単語で埋め尽くされているので迷うことなく一尾99円の塩サンマをカゴに入れる。大根はまだ家に少しあるので、あと他に買う物は特に思いつかない。
「さんまかあ」
「だねえ」
「さんますき?」
「ぐもん」
 レジを通り、一人スーパーを後にする。夕焼け空を見上げると細い雲が群れていて、私たちは秋刀魚雲ですとでも言わんばかりだ。さっきの銀色たちがざわめきだす。私の視界にくっきりとは入ってこない。けれど、いる。そこに、いる。空中を行き来するサンマの集団。彼らを召喚したのは私の頭の中のサンマという単語に他ならない。
「おなかすいたぁ」
 私は小さく呟き、レジ袋を持ってハミングしてしまう。サンマたちはメロディに合わせてざわりざわりと踊り、私はますます楽しくなる。
 サンマがあるから、秋は好きだ。
posted by 三里アキラ at 08:07| Comment(0) | TrackBack(0) | Sudden Fiction | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする