2011年07月09日

+ワンルームの中の孤独+

 最後の砂が落ちきったので、また砂時計をひっくり返す。わたしは囚われのお姫様。
 煌びやかなドレスは剥ぎ取られ、紺色のワンピースを着せられている。コットン生地の着心地は悪くない。
 何回砂時計をひっくり返しただろう。あと何回ひっくり返せばいいんだろう。グラスに注がれた水は、もうすっかり温くなってしまった。グラスの汗はテーブルに小さな水溜りをつくる。
 違うの。囚われてるんじゃないの。守ってもらってるの。
 助けに来てくれる人なんかいない。何も見たくない。何も聞きたくない。何も知りたくない。わたしはお姫様なんかじゃない。部屋に閉じこもって、時が流れていくことだけ確認したい。
 また最後の砂が落ちきって、右手で砂時計をひっくり返し、わたしはただそれを見つめる。見つめ続ける。
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2011年07月02日

+星くずを散りばめよう+

 ざらり。☆ ☆  ☆  ☆   ☆   ☆    ☆    ☆
☆    ☆    ☆   ☆   ☆  ☆  ☆ ☆ ざらり。
 amanogawa。
 に、見立てたコンペイトウ。光ればいいのに。
 けれどコンペイトウは光らなくて、しょうがないから一つつまみあげてお口へひょい。甘い。
 甘いって幸せだ。頬が緩んじゃう。
 幸せいっぱいあればいい。星の数ほどあればいい。みんなみんなに届けばいい。
 散らかったテーブルは、今夜は、このまま。太陽沈んで、天気は、悪くない。
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2011年06月25日

+スイーツ・プリーズ+

 同い年なんだからわたしがちょっと童顔だからって子供扱いしないで。「オレのが年上じゃん?」ってたった一ヶ月しか変わらないじゃない。い・っ・か・げ・つ! どっちが子供よ。子供の理論よ。
 わたしの部屋に来るときいつもケーキ持ってるけど、わたし甘いのあんまり好きじゃないって言ってるでしょう? 食べるけどさ。「ぷにぷにしてきたね」って笑ったりなんかして、ケーキのせいなんだからね? 「食べてる顔、幸せそうだなあ」ってそれはケーキのせいじゃなくて! もうちょっと思いやりのある言葉とかさ、どうなのよ。優しくしなさいよ! 長いこと、たとえば「好きだよ」とか言ってもらってないんですけど。たまにでいいから言って欲しいんですけど。浮気でもしてやろうかしら。しないけど。ホントなんでこんな男にニヤニヤしなきゃいけないのか自分で納得いかないよ。
 年上気取りでわたしのこと好きに扱うけど、わたしがいつまでもただ従ってると思ったら大間違いなんだからね。毎晩苦いの飲ませてさ、えっと、その、イヤ・・・じゃないんだけどさ、それよりも、それよりもさ、そのショートケーキ食べたまんまのクチビル、こっちに向けてきなさいよ、ねえ!


++追記。++
posted by 三里アキラ at 00:05| Comment(4) | TrackBack(0) | Sudden Fiction 心臓 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする