煌びやかなドレスは剥ぎ取られ、紺色のワンピースを着せられている。コットン生地の着心地は悪くない。
何回砂時計をひっくり返しただろう。あと何回ひっくり返せばいいんだろう。グラスに注がれた水は、もうすっかり温くなってしまった。グラスの汗はテーブルに小さな水溜りをつくる。
違うの。囚われてるんじゃないの。守ってもらってるの。
助けに来てくれる人なんかいない。何も見たくない。何も聞きたくない。何も知りたくない。わたしはお姫様なんかじゃない。部屋に閉じこもって、時が流れていくことだけ確認したい。
また最後の砂が落ちきって、右手で砂時計をひっくり返し、わたしはただそれを見つめる。見つめ続ける。